メッセージ
18基本領域プログラムで専門医への第一歩を
福井大学医学部附属病院長 大嶋勇成
初期研修では、医師としての基本的診療能力を修得するため複数の診療科をローテ―トされたことでしょう。各診療科の診療内容や医師の実際の働き方は、医学部入学前に想像していたものや、医学部の病院実習で経験したものと異なっていたかもしれません。そのため、専門医研修先をどうするか悩まれている方もいるでしょう。医療需要や医師の働き方などに関する様々な情報が巷には溢れており、診療科によっては、その将来に不安を持たれているかもしれません。しかし、医学の進歩や診療報酬の改訂、新興感染症のパンデミックなど、医療を取り巻く環境の変化により、その診療科が将来どのような状況になっているかを予測するのは困難です。ですので、自分が本当に成りたいと思う診療科を選ぶことをお勧めします。
福井大学医学部附属病院では18の基本領域専門医の研修プログラムが用意されています。都会の研修プログラムに比べて、症例数が少ないのではと思われるかもしれません。しかし、研修施設の症例数が多くても、研修医の人数を考えると一人が経験できる症例数が多いとは限りません。本院の研修プログラムでも十分な症例は経験できます。また、大学病院は雑用が多く、市中病院の方がいろいろな手技をさせてもらえるという話もありますが、専門医研修は、手技を修得することだけが目的ではありません。一つ一つの症例を大切に、医学的な根拠と最新の知見に基づき、診断をすすめ最適な治療を選択し実施するという一連のプロセスや考え方を修得することが求められます。さらに、診療で得られた新たな知見を学会や論文として発表し、医学の発展に貢献することも専門医に求められる資質となります。附属病院では学術的、学際的な診療を行っているという点から基本領域の専門研修をする上で打ってつけの環境と言えます。基本領域の専門研修を修了後、あるいは内科の様に診基本領域の研修と連動して、サブスペシャリティの専門医取得を目指す方もいるでしょう。附属病院には、多くの領域の専門医がいることから、サブスペシャリティの専門研修に進む点でも有利と言えます。
各診療科の指導医は、皆さんがスタッフの一員として活躍し、附属病院だけでなく、福井県の医療を支えてくれる人材へと育ってくれることを期待しています。そのため、初期研修の時とは異なり専門医研修においては、各診療科の指導医の熱意の違いを感じることが出来るでしょう。皆さんが医師を目指してから描いてきた、将来像を具体化するために、是非、福井大学医学部附属病院の基本領域プログラムで専門医への第一歩を踏み出してくれることを心より願っています。