初期臨床研修

腎臓内科

研修の特徴

01自ら病理組織診断を行い
治療まで一貫して担当する

腎臓病学は組織学に基づいて発展してきました。このため病理組織診断は腎臓内科医の生命線と言えます。腎組織の一つの病変は一つの機序だけで起こるものではないため、パターン認識ではなく、PAS 染色と PAM 染色などの染色法の特性を理解して理論立てて考える必要があります。各々の病変の組織学的特徴や免疫組織化学的検索に加えて、詳細な臨床情報と病期や使用薬剤などを総合的に検討しなければ、的確に診断し治療方針を立てることが出来ません。このため「臨床を知らない者に腎病理は診断できない。腎病理を知らない者に臨床はできない」と言われています。当科をローテートする研修医は腎生検を行った全例の組織を指導医と共に検鏡し、カンファレンスでプレゼンしていただきます。

02病院内全科の水・電解質・酸塩基平衡・
腎不全をサポート

慢性腎臓病は、日本国民の8人に1人(1,330万人)が患っており、「新たな国民病」と言われています。このため腎臓内科入院の患者以外にも、病院中のすべての診療科に腎臓病患者がいます。腎臓は水・電解質・酸塩基平衡を調整するMaster Builderであるため、腎機能が低下すると、肺水腫、電解質異常・酸塩基平衡異常が生じやすくなります。重症症例では腎機能低下が命取りになることも多いです。各診療科の腎臓病患者に対して、腎臓内科医が水・電解質・腎不全の専門サポートを行うことで、病院内全科での医療水準が上がります。

03腎臓と他臓器との連関を
考えた全身管理を学ぶ

腎臓生理学の父として知られるHomer Smith が、腎臓は体内環境のMaster Builderであると表現したように、約80年前から腎機能悪化は他臓器に悪影響を与えることが知られています。その後、心腎連関の存在が明らかとなり、現在では肺腎連関、腸腎連関、および脳腎連関など他臓器とのつながりで考える腎疾患の病態に注目が集まり、その発症メカニズムや治療戦略が注目されています。腎臓から全身臓器との連関を考えて全身管理を行う考え方は、将来どの診療科で臨床を行う場合にも必ず役立つ診療技術になります。

04高血圧、糖尿病、膠原病、感染症も
診ることができる医者に

腎臓病は、生活習慣や加齢と深く関わっています。慢性腎臓病のハイリスク因子として肥満、脂質異常症、高血圧、耐糖能障害、糖尿病、膠原病、感染症などが知られているため、腎臓病の進行を防ぐためにはこれらの基礎疾患を包括的に管理する必要があります。当科をローテートする研修医はこれらの基礎疾患に対する標準的治療法を習得することができます。

05免疫抑制剤を使いこなす
スペシャリストになれる

多くの腎臓病の原因は腎臓にあるのではなく、免疫システムの異常が原因と考えられています。例えばIgA腎症は、健康な腎臓を移植しても、また同じIgA腎症が再発します。したがって治療も特定の免疫システムを標的とした治療を行うことが多く、免疫学全般の知識が必要となります。免疫抑制剤には特有の副作用も多いため実際の症例を通して、免疫抑制剤の使いこなしを学びます。福井大学腎臓内科は泌尿器科と協力して腎移植患者の術前評価や拒絶の治療を行っており、移植免疫まで踏み込んだ診療が経験できます。令和4年度の診療報酬改正では、血液透析に偏重した腎代替療法を是正して腹膜透析と腎移植を普及させるため導入期加算3が新設されており、日本移植学会でも移植内科医の必要性が叫ばれています。

06「J-Osler time」導入で
子育てをしながら
総合内科専門医が取れる

「J-Osler time」とは新内科専門医制度に対応するために、日勤帯に「J-Oslerの入力だけをする時間」を作る腎臓内科独自の制度です。専攻医の業務として毎週 1 回、日勤帯の 2 時間取っていただき、その間は上級医がピッチを預かって代診します。指導医と相談しながら入力作業ができるので無駄がありません。日勤帯内に無理なく着実に最短期間で症例登録・サマリー作成を行っていくことができます。「子育てとか心配だけど仕事面もあきらめたくない」そんな女性ドクターを応援しています。

指導医(上級医)からのメッセージ

腎臓内科小林 麻美子先生

福井大学病院では、大学病院ならではの高い専門性を要する疾患から、頻度の多い疾患まで幅広く診療できることに加え、多彩な研修プログラムを選択できることが特徴です。私も当院で2年間初期研修を行いました。最終的に腎臓内科医となりましたが、初期研修時はまだ将来専門としたい診療科は決まっておらず、外科系を含め幅広く研修できたことがとても良い経験となっています。
当科の特色は、大学病院でありながら健診時の尿異常から透析治療まで一般的な腎臓病に加え、頻度が少なく専門性の高い疾患まで幅広く診療できることです。また経験を積んだ指導医と共に診療に当たり、カンファレンスで治療方針など相談できる環境が整っています。
さらに腎臓病の進行予防には生活習慣の改善が重要で、看護師や栄養士、医療ソーシャルワーカーと共に患者・家族に関わり、また腎不全の進行で透析治療が必要となれば臨床工学技士も加わってチームとなって診療に当たるためやりがいを感じます。
皆さんと一緒に診療ができることをスタッフ一同お待ちしています。

後期研修医(専攻医)の声

腎臓内科渡邉 佑衣先生

専攻医1年目の渡邉です。初期研修医2年目に出産し、産後4か月あまりで職場復帰後、腎臓内科での専門研修を始めています。子育て経験のある医師が多い腎臓内科では復帰前からいろいろアドバイスをいただくことができました。私は先生方のアドバイスも参考に、育児休暇を取らずに専門研修をスタートするという選択をしましたが、腎臓内科ではそれぞれの先生の描くライフプランに合わせた選択を支援してくださっています。おかげで今は指導医の先生方や院内保育園、両親、同じく福井大学医学部附属病院で専門研修中の夫に支えられながら充実した研修生活を送ることができています。透析に腎病理、入院管理、学会発表と、学ぶべきことは盛り沢山ですが、腎臓内科ではどの先生方からでもいつでもご指導いただく機会があります。内科に少しでも興味がある方は、初期研修でのローテートや見学に来ていただくことをおススメします。

各診療科の研修内容を見る

Initial Resident

次世代を担う医療⼈は
キミだ。

重症、難治性疾患のみならず、⼀般的な疾患も経験できます。 熱⼼で質の⾼い指導には⾃信があり、救急患者の初期対応⼒が⾝につき、プライマリーケア習得に最適です。 初期研修と博⼠号取得を効率よく両⽴できます。

初期臨床研修医について詳しく

ページの先頭へ