脳神経内科
研修の特徴
012025年1月
脳神経内科が独立
脳神経内科は、福井大学病院の開院以来、第二内科として消化器内科と合同で診療を行っていましたが、2025年1月に西山康裕教授をお迎えして独立し、新たな門出を迎えました。西山康裕先生は日本医科大学で木村和美先生の右腕として、脳卒中診療のエキスパートとしてご活躍されてこられました。当院は一次脳卒中センター・コア施設(PSCコア)として本県の脳卒中診療に尽力してきましたが、さらにレベルアップした診療を展開していきます。脳神経内科は脳卒中だけではありません。髄膜炎・脳炎やてんかんなどの神経救急疾患、パーキンソン病や認知症などの神経変性疾患、多発性硬化症などの神経免疫疾患、筋炎などの筋疾患、遺伝性疾患など幅広く神経・筋疾患に対しても、パワーアップした診療を経験できます。
02Common diseaseから
専門性の高い疾患、希少疾患まで
大学病院の研修というと、専門性の高い希少疾患しか診療していないというイメージをお持ちでしょうか?もちろん県内唯一の大学病院ということで他院では診断あるいは治療が困難な疾患も診療できます。加えて、前段でも述べたように、当院は救急にも力をいれており、1次~3次救急まで幅広く受け入れています。このため神経・筋疾患のcommon diseaseを診る機会も多くなります。意識障害の原因をみわける修練や脳卒中や髄膜炎、てんかん、ギラン・バレー症候群などの神経救急疾患を多く経験でき、将来、内科・外科やその他の診療科に進んだとしても、あるいは神経系の医師がいない病院で勤務しても、初期対応ができる力を付けることができるでしょう。
03指導医とのマンツーマンの指導体制
初期臨床研修中は主治医チームの一員として入院患者を担当していただきます。指導医の指導のもと患者の一般内科学的診察に加えて、他科では学べない神経学的診察を行い、一緒に診断に至るための検査方針や診断後の治療方針を検討、ディスカッションに参加し、“On the Job Training”で脳神経内科領域における診療の基礎を習得します。患者により近い位置にいる初期研修医の皆さんの気づきや意見が診断の糸口になることもあります!積極的に手と頭と動かして、診療に参加してください。
04プレゼンテーション能力を身に着けよう
当科では教授回診を週1回、平日毎朝の新患カンファレンス、週1回(場合によっては適宜)症例検討会を行っています。ここで身に着けて欲しい・磨いてほしいのは「プレゼンテーション技術」です。プレゼンテーションは、上級医への相談、他科への対診、他院への紹介、学会発表など、これからの長い医師人生であらゆる場面で常に求められます。必要かつ十分な内容を相手に伝わるようにしなければならず、訓練が必要な技術で、プレゼンテーションがうまいと一目置かれる存在になれます。そのためには患者さんのこと(病状、検査所見、治療効果など)をよく理解しなければなりません。理解したと思っていても、質問されると自分に足りていないところに気づかされることがあります。疾患の診断や治療に関する医学的知識や対応力も身に着けつつ、プレゼンテーション能力も身に着けることを目標にしています。
05学会発表~論文の読み方
経験した症例はどんな症例なのでしょうか?典型的な症例、あるいは希少な症例でしょうか?それをどうやって見分けますか?経験を積むことで判断力がついてきます。そして、大学病院で勤務していると、貴重な症例を経験することがあります。診断や治療についてガイドラインや治療指針のみでは解決できないことがあり、文献から検討し、診断や治療を行っていきます。そのようにして経験した症例を、希望する初期研修医には学会発表してもらっています。発表するためには深く勉強する必要があり、その経験が医師としての成長に非常に役立つと考えています。興味をもった疾患については病態生理やメカニズムにまで掘り下げて議論することも可能です。大いに成長してほしいと願っております。
指導医(上級医)からのメッセージ

脳神経内科佐々木 宏仁先生
福井大学病院の臨床研修では、バランスの取れた研修を受けることができます。脳神経内科では、脳卒中から神経変性疾患、筋疾患まで幅広い疾患を経験することができ、学術的にも充実した環境が整っています。学会や研究会に積極的に参加して専門知識を深める機会があり、研修医でも学会発表が可能です。
2025年1月から新体制がスタートし、脳神経内科学教室が設立されました。西山康裕教授が着任され、医局員一同が最新のエビデンスに基づいた診療を行っています。医局の雰囲気はアットホームで、親切な先生が多く、困ったときには気軽に相談できる環境です。
また、当科には私を含め、「地域枠」の義務年限を持つ先生が複数名所属しています。どの先生も地域医療に取り組みながら、脳神経内科の専門知識の向上に努めています。「地域枠」の方には、当院・当科での研修を通じて、ご自身の将来像を具体的に考えるきっかけにしていただければと思います。もちろん、「地域枠」でなくても大歓迎で、将来のことなど気軽にご相談ください。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
後期研修医(専攻医)の声

脳神経内科北﨑 佑樹先生
私は福井県(高浜町)で生まれ,埼玉県で育ち,金沢大学を卒業した後,2012年に福井大学医学部附属病院で初期研修をスタートしました。2025年の今現在に至るまで,この選択を後悔したことは「誓って」ありません。お世辞ではないです。その理由をお伝えします。
理由①「住環境」
福井は,広い空と山々,田畑が広がる自然豊かな風景が魅力です。この“住みやすい”環境は,慌ただしい医療現場で働く中でも心に余裕を生み出し,良質な診療につながります。本当です。大雪が降った年には雪解け後の春の訪れに心から感謝する――そんな瞬間は人生をきっと豊かにしてくれます。
理由②「経験」
2025年1月,脳神経内科学教室が新たに設立され,西山康裕先生が初代教授として着任されました。この新体制のもと,日々の診療が教室の歴史を作っていく,特別な経験ができます。教室の主役は若手の皆さんです。私たち指導医はサポートに徹します。遠慮なく私たちを「たくさん使って」成長してください。
理由③「主体性」
都市部ではなく「あえて」地方で医療に取り組む選択は簡単ではないでしょう。ただ、この「あえて」が主体性を育むきっかけになるはずです。地方創生が求められる今、地域医療への貢献は単なる義務と捉えず、価値ある挑戦であると思います。都市部では得られない充実感・成長の機会を,皆さんに提供できると思っています。一緒に進んでいきましょう。
大切なのは「大きな病院で働く」ことを自慢することではなく、「自分に合った病院で働いている,成長している」と実感することだと思います。福井で皆さんと一緒に働けることを楽しみにしています。